チラシの裏の設計書

プログラム開発、データ分析からロボット作りまでものづくり全般を思うがままに書き連ねたブログ。

「説得とヤル気の科学 最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム」を流し読んだ

今回の流し読み読書日記は「説得とヤル気の科学 ――最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム」です。

最近読書日記ばっかりです。

 

www.oreilly.co.jp

 

総評

人の行動原理を心理学的な面から解説し、どのような行動や言葉が人に作用するのか・どう応用すればよいのかを示してくれている良書。

タイトルでは「説得とやる気」とあるが応用範囲は広く、人の行動を引き出す必要があるプレゼンや会議の場はもちろん、マーケティングや宣伝などにも広く使える本だと感じた。また本書内でも書かれているが、「自分で使う」という観点以外でも世の中で使われている様々な仕組みの理解であったりオレオレ詐欺への防衛だったりと人の行動に影響するものに興味がある方にはおすすめの本。

 

概要と感想

内容の密度が高いのでサクッとまとめれるほど理解できていない。。。

印象に残っているものをピックアップ

 

ペルソナ

一般的にペルソナというとマーケティングで使われるような「〇〇歳でXXをしていてい、こんな趣味があって・・・」みたいな仮想的な人物像のように使われるが、本書では更に深い活用がかかれている。例えば本人が思っている自分自身のペルソナ(自分はこういう性質の人間だ)というものを意識した問いかけだったり、そのペルソナの変更を誘導することで行動を促したりといったことまでかかれていて新鮮だった。

 

帰属意識や強化刺激

自分はこのグループに入っているという意識や報酬によって人がどう感じ、行動にどう影響するのかというのを多くの研究例とともに紹介されている。

例えば、飲食店などでポイントカードなどは一般的に発行されており効果があるマーケティング手法であることはなんとなく感じているとは思うが、それが何故起こっているのか人がどう感じているのかというところを丁寧に解説しているため、身近なマーケティングなどを深く理解するのに役立つと感じた。

 

心の錯覚

数字や言葉の見せ方によって人間の心がどれだけ錯覚を起こし、正しいと思っている行動がずれているのかがわかる。

またそれを使って交渉にはどのように数字を出せば良いのかなどもわかる。最初に出てくる一つの数字に引っ張られてしまうアンカリングの原理と値段付けの関係やメタファーを使うことで印象がかなり変わることなども。

 

ケーススタディとストラテジー一覧

本書のポイントとしてケーススタディとして10以上の実例の紹介がある。まずはこちらを先に読んで、有用性を確認するのが良いかもしれない。

また各項目ごとにストラテジーという形でポイントがまとめられているのですが、100以上出てくるのでどうしてもどこに何があったか忘れがちになる。それも最後の章に一覧があるのでとても親切だと感じた。

 

 

ということで、本書は内容が充実・研究の事例も豊富で、必要に応じて何度も読み直すのがよい本だと思った。行動分析学に興味が持てるとても良い本。

 

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「世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本」を流し読んだ

前回に引き続き、プレゼン本読書記録。

お次はこれです。

 

www.kadokawa.co.jp

 

総評

シンプルで伝わるプレゼンにするにはどうするか、どのような構成にすると良いかということが体現的に書かれている。GEの研修で実際に行われたテクニックなど、すぐに実践しやすい情報もあり参考になった。

ただ、資料(スライド)のまとめ方などは淡々と要点が書かれているため少し具体的なサンプルなどがあればいいなと思う部分はあった。

 

概要と感想

参考になると思ったポイントを列挙。詳しくは本書をどうぞ。

 

ABCD→E

1. 聞き手の分析(Analyze Audience)

2. メッセージ構築(Build Message)

3. スライド構成(Construct Slide)

4. 伝え方の工夫(Deliver Presentation)

結果、聞き手の満足(Engagement)

という流れで考えよう

 

スライドを削る練習

・「10分用のスライドを準備してきてください→今から20分で5分用のスライドに作り変えてください」という研修がある。コアメッセージが固まってないとガタガタになる。

 

・「スライドを1/3に削り、さらにそれを1/3に削る」練習→コアメッセージが残るようにする→そこから肉付け

 

"スライドは巨大なカンニングペーパーではない"

 

このあたりは自分の発表したい内容がちゃんと固まっているかを確認する手段にもなりますし、良いスライドへのブラッシュアップになりそうです。

記憶に残るメッセージ

・「15語いないのメッセージにする(英語の場合)」日本語なら25-30文字程度

・GEの記者発表で使われたスライド例

1枚のスライドで「ecomagination」「Green is green」と書かれているだけ → これだけで30分。

ecomagination・・・エコロジー、エコノミー+Imagination(想像力)の造語

Green is green・・・1つ目のGreenは環境ビジネス、2つ目はドル札紙幣(greenback)で、環境ビジネスはお金になるということをメディアに会見

 ここまで短いのを作るのはセンスかもしれないですが、一文にまとめておくというのは重要そう。

プレゼンの目的

どれかだよ

・説得するとこ

 1. 意思決定をして欲しい

 2. 何かの行動をとって欲しい

 3. 自分の提案を受け入れて欲しい

・情報を伝えること

 4. 情報の共有をしたい

 

構成は後ろから考える

コアメッセージが決まったら構成を作っていく

・「物語(前置き)→問題(原因)→解決策」という順番はアジア人がやりがちでスタンダードではない

・「提案→問題→解決策→想定される効果」の順にしよう

最終ゴール「このプレゼンによりどんなことが怒るのか」から考えるといいよ

 

確かに前者で作りがちなので気をつける。研究発表とかならいいけどね。

黄金の1分間

・冒頭の1分間で聞き手の関心を引くことに失敗するともうだめ

・エレベータースピーチの練習

 ・(エレベーターに乗り合わせた上司に)60秒で言いたいことを伝える練習

・1分間を成功させるためのポイント

 ・1つの明確な目標を意識

 ・聞き手にわかりやすい言葉

 ・聞き手の優先事項と関連性を明らかに

 ・聞き手にとってのメリットを訴求

 ・聞き手の興味を引き付けるためのフック

とにかく聞き手目線

・1分間の例

 ・実例、ユーモア、逸話、引用句、例え話、衝撃的な事実(数字)・・・

 → それでも思い浮かばない場合はコアメッセージの質問系

  ・「目的:プロジェクト予算1億欲しい」→「このプロジェクトで来年3億の増益を見込めるとしたらどんな手段があるでしょうか」みたいな始め方

 

アクションプランまで落とす

・アイディアの提示、解決策の提案で終わるのは残念、そのあと展開(アクションプラン)まで見せると信頼を得られる

 

〜〜〜

 

もちろん内容はまだまだありますが、列挙しすぎても引用じゃなくなってしまうのでこの辺で。

 

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「マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術」を流し読んだ

今回も読書日記です。

プレゼンすることがちょこちょこあるので。

www.diamond.co.jp

 

総評

「良いプレゼン」のための心構えが詰まっており、また文章自体の構成も流石の読みやすさがあり、プレゼンする人は読んでおいて損はない本と思いました。

 

感想

身振り手振りとか綺麗なスライドとかそういった小手先のテクニックを紹介するものではなく、相手に届くプレゼンとは何かというものをテクニックも交えながら解説している書籍です。

特に本書で強調されるプレゼンのゴール「相手をハッピーにする、行動を引き出す、言いふらしたくさせる」ことは、特にビジネスの場では忘れられがちなことであるため、プレゼンを作る際には常に意識する必要があると感じた。(ビジネスでは「説明」するためのプレゼンをしてしまいがち)

また、「プレゼン作り」の話だけでなく、プレゼン外でもアンテナを張り巡らせておく重要性やはたまたプレゼン後の質疑応答、オーディエンスの集中を切らさないための細かいテクニックなども随所に入っており、実際に何百というプレゼンをこなしてきている筆者のノウハウの詰まった一冊です。

 

この記事もそうですが、読んだ後に言いふらそうとしている時点で筆者のプレゼンにやられた(いい意味で)ということですね。

 

・・・ただ、タイトルがコピペしにくい(Noのところ)のだけは、言いふらしにくい(コピペしにくい)のでなんとかして欲しかったです。。。

 

「アフターデジタル」をちゃんと読んだ

本日の読書日記。

「アフターデジタル」を読みました。

今回は流し読みではなくてちゃんと読みました(この手の業界の人なので。)

 

www.bebit.co.jp

 

総評

現代のWebやデジタルの世界で起きていることを改めて俯瞰することができるとても本と思います。

デジタルを活用する、という視点を飛び越えてデジタル(オンライン)もリアル(オフライン)も融合した世界(アフターデジタル)で何が起こっているのかを解説し、日本でその考えをビジネスに取り入れるにはどうすればいいかを事例を交えながら説明してくれているものとなります。

特に中国企業の事例を中心にどんなことを考えてどんな戦略を持って急成長したのかを紐解いていきます。

おそらくIT業界の人にとっては「うわー、今までと違ってアフターデジタルという考え方を意識せねば、、、」となりますが、あまりITに詳しくない人にとっては「え、何いってんだこれ」となるぐらい日本の現状とはかけ離れていることが書かれています。

 

さらっと内容をまとめます。

 

概要と感想

アフターデジタルとは

まず、日本の現状は「ビフォアーデジタル」であるが世界の先端では「アフターデジタル」が当たり前となっているというところからスタートします。

実店舗とECサイトを想像するとわかりやすいですが、ビフォアーデジタルとは「実店舗にITを導入しよう」といったようにリアル(オフライン)の世界に付加価値としてオンラインを活用しようといった考えです。

アフターデジタルはデジタル(オンライン)が全てに浸透し、実店舗(オフライン)というのはあくまでリアルでお客さんに接触できる一つのUIである、といった思考です。

アフターデジタルの世界ではオンライン・オフラインに境目はなく、現代の電気水道のように情報がすべてで使えてあたりまえという公共インフラになった世界です。

 

事例の紹介

1章では上記のアフターデジタルの世界感の説明がなされ、2,3章では豊富な中国の事例を出しつつ、OMOとはどういうものなのかが解説されています。

平安保険グループの事例や、近年話題のGDPRを絡めたデータ利用に関する視点など様々な視点からアフターデジタルの世界を俯瞰できます。

 

日本でビジネスに活用するには

最後にこれからビフォアーデジタルに取り組むときどのようなことをまずすべきなのか、といったところがまとめられており、「ユーザーに寄り添うとはどういうことか」「行動データの取得設計とUX改善を高速で回すこと」「モーメントを意識すること」といった実務で意識しなければいけないことを始め、企業でOMOの考えを浸透させるためにビジョンや事業戦略をどう定めなければいけないのかといった内容まで細かく議論されています。

 

あとがき

データサイエンティストなのかマーケッターなのかよくわからない仕事してる自分にとっても既存のマーケティング手法(ターゲティングとセグメント分けとか)から一歩進んだ考え方にしていかないといけないというのは明日からすぐ意識できるなと。

 

WebやITに関わる人は読んでおきたい本だとおもいますし、Webから遠い人でも読み物としても良いとおもいます。

 

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【ネタ】エネループ1本を自転車で充電するためには75kmほど漕げばよいらしい

※ネタ記事です。信憑性あんまりないのでご注意ください。

 

調査報告レポート

【報告内容】

エネループ一本を充電するために自転車何km漕げばよいか

・一人分の消費電力を賄うために自転車何km漕げばよいか

panasonic.jp

 

基礎調査

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まず電気関連の単位を復習しておく。

電圧はV(ボルト)、電流はA(アンペア)、電力はW(ワット)であり電力は電流×電圧をしたものである。

電圧は電気を流そうとする力、電流は流れる電気の量である。

電池のような電気を貯めるものは「どのくらいの電気(電流)をどのぐらい位の間流せる(時間)だけの電気を貯められるか」というのが電池の容量ということになるため、単位はアンペア・時間(Ah)となる。

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では本題。

エネループ

エネループの容量を調べる。単3タイプのスタンダードモデルで1900mAhである。

充電する際は容量の10%程度(0.1Cと表記する)の電流を流すのが基本のようだ。急速充電の場合は1Cで流す場合もあるようなので、ある程度許容幅はあるようだ。


発電機

次に自転車についている発電機である。

時速15kmで走ったときに6V, 2.4Wが定格のようである。つまり電流は400mA。

ただし交流電源であるため、まず直流に変換する必要がある(整流)。それによる若干の電流・電圧の低下はあるものの今回は無視する。

 

計算

400mAの電流をエネループに注ぎ込むとすると、理想的には単純に1900mAh / 400mA = 約5時間で充電が完了する。

つまり、自転車を15km/hで5時間=75kmほど走ればエネループ1本を充電できることになる。

なお、75kmは山手線1週半程度であるが、時速15kmは街乗りにしては速めの速度であるため山手線周回時には注意されたい。

 

一人分の電力を自転車で賄う

エネループ1本分の電力がそこそこの労力で賄えることがわかった。

では次に生活に必要な電力を生み出すことを考える。

以下の記事によると日本国民一人当たり年間8000kWhほどの電力を消費しているそうだ。

http://www.garbagenews.net/archives/2011740.html

では、8000kWhを自転車で生み出すことを考える。8000kWh/年ということは22kWh/日である。

上記調査より、自転車を1時間漕いで得られる電気が2.4Whである。この時点で桁が違いすぎるため正攻法を諦める。

より効率的に電気を得るため、自転車にカスタマイズを加えるのである。

一つの車輪に一つの発電機では勿体無い、8個ほど取り付ける。前後輪両方に取り付ければさらに倍である。

f:id:stkdev:20190519172057p:plain

こういうイメージだ。

 

この自転車を24台準備し、24人に漕いでもらう。これを24時間体制で行うと

2.4Wh * 16個 * 24人 * 24時間 = 22118.4Wh = 22.1kWh

となり、一人分の電力を賄うことができた。

電気は蓄積が難しいため、常に発電し続けてもらうしかない。

自分を中心に円運動してもらうのが良いだろう。さながら強制労働である。

https://pbs.twimg.com/media/D4e0eTRU8AA_b08.jpg:small

https://togetter.com/li/1339759

 

労働環境改善

最後に、「おっ、24人ならいけるやん」と思った富豪の方に注意ポイントを述べておく。

まず22kWh/日というのはあくまで年間量から算出した平均である。

電力需要は性質上、夏の暑い日や冬の寒い日ほど必要になる(エアコン等)。そういった増減に対応するに、自転車をこぐ速度を調整してもらわなければならない。30km/hほどの速度を出してもらえれば15km/hの時より130%ほど発電量を増やせるようだ。

過酷な日ほど過酷な労働を強いることになるため、ぜひ気候手当を検討いただきたい。

 

以上。

 

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前回のネタ記事↓

stkdev.hatenablog.com

 

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「機械学習のための特徴量エンジニアリング」をいまさらやっと流し読んだ

良本として界隈で話題になっていた「機械学習のための特徴量エンジニアリング」を買って読めてなかったのでザクッと読みました。

 

www.oreilly.co.jp

 

全体を読んだ感想としては、「これ一冊で広くがわかる!入門向け!」というタイプの本ではなくて、実際にデータに向き合う実務者が困ったときに頼りたいといったような本だなと思いました。

イメージとしては実際に機械学習のモデルを作り始めてはみたのの「どうも精度がでないなぁ」とか「この種類のデータはどう扱ったらうまくいくんだろう」といった疑問が出てきたときに強力に手助けしてくれる本といったイメージです。

 

「1章:機械学習パイプライン」でざっくりとした機械学習モデル構築の流れの説明があったあとはひたすらいろんなデータ(数値であったりカテゴリであったりテキスト・画像・・・)ごとにどのようなアプローチ方法があるかが詳しくかかれているといったものです。

「この一冊をまず読め」ではないですが、ぜひ手元に置いておいておきたい一冊でした。

 

今日は短め。

 

「アドテクノロジーの教科書」を流し読んだ

では次の流し読み読書日記です。

「アドテクノロジーの教科書:デジタルマーケティング実践指南」を流し読みました。

 

www.shoeisha.co.jp

 

全体の感想として、アドテクがどのように発展していったか・どう使われているのかということが綺麗にまとまっており、アドテクやWebマーケティングへの入門1冊目としてとてもよさそうと思いました。

アドテクの領域ではない人でもWeb系のエンジニアですと何かと関連する部分なので知っておいて損はない分野かと。

 

1章:History & Technology

 アドテクってなにという人はとりあえずここ

2章:Creative

 広告の種類と利用事例

3章:Measurement

 効果測定の話(理論ではなくどういう視点が必要か、とか)

4章:Player

 国内外のプレイヤー、各社の特徴などがわかる

5章:Market

 市場規模や今後の考察

 

ただしあくまでマーケッター寄りの視点でまとまっているため技術面や各種手法のアルゴリズムなどは詳しく書かれていないため、アドテク関連サービスを作っていくエンジニア側の目線で読むと物足りなさは感じるとおもいます。しかしエンジニアであっても全体を俯瞰してマーケッターの人がどのようなことに着眼しているかということを知ることができて有用と思います。

 

またとても良いと思ったのが、アドテク関連のプレーヤーや製品、市場規模などの情報が数値でまとまっていることです。かなりのページ数を割いてきれいにまとまっておりその部分だけでも十分価値のある一冊かと。

 

注意が必要な点としては、こちらの本が2016年出版であるためこの日記投稿時点(2019年)で3年間のラグがあります。アドテク業界の3年というとかなりの変化があります。特にここ最近ではCookie関連の規制強化であったりGDPRを始めとした個人情報の扱いが変わってきたことなど、アドテクを取り巻く環境が急速に変わっています。まずはこの一冊で入門してから情報をキャッチアップしていくということが必要そうです。