チラシの裏の設計書

プログラム開発、データ分析からロボット作りまでものづくり全般を思うがままに書き連ねたブログ。

「アフターデジタル2」もちゃんと読んだ

前作にあたる「アフターデジタル」の流し読み日記はこちら。

stkdev.hatenablog.com

続編となる「アフターデジタル2」を読みました。

前作で語られた、中国の事例をベースにした「OMO(Online Merges with Offline)の世界」からここ数年での変化を踏まえたアップデート情報や日本への提言を交え、より具体的になった内容。

 

概要

章立ては以下のようになっています。

第1章 世界中で進むアフターデジタル化
第2章 アフターデジタル型産業構造の生き抜き方
第3章 誤解だらけのアフターデジタル
第4章 UXインテリジェンス 今私たちが持つべき精神とケイパビリティ
第5章 日本企業への処方箋 あるべきOMOとUXインテリジェンス

 今回はOMO自体の説明や事例というよりも、特に日本でどう活かすか・今、日本企業が見落としているところはどこなのかと行った内容も含んでおり、より実践的です。
前作は「ITにあまり関心がない人でも読み物としても面白い」と感想を書いた気がしますが、今回はより実際にWebビジネスに関わる人にフォーカスして書かれている内容と思いました。

 

ピックアップ

UXとミッション

本書では「UX」という単語が強調されて出てきます。
UXは数年前からよく使われている「User Experience」のことですが、単に「UIの拡張」というようなイメージで使われることが多いということに警鐘を鳴らしつつ「ユーザー体験の設計そのもの」という意味で語れます。

そしてそのUXは企業のミッションによりユニークになっていくものだと表現されています。
中国のアリババとテンセントを例に、同じ機能を提供するものを作り出してもそれぞれの企業のミッションによって異なる体験が生まれている例が紹介されています。

また、ビジネスを作るための「ミッション・実現したいもの」→「それを実現する世界観・価値の再定義」→「ユーザを巻き込むための接点や体験作り(UX)」というような流れや、もう一段詳細にUXの設計に踏み込んだ「UXインテリジェンス」の章へ繋がっていきます。

 

データは意外とお金にならない・ビジネスの設計

タッチポイントを増やしてひたすらデータを取ることそれ自体はお金を生まないということが書かれています。

そういえば近年では似たような表現として、ゴールドラッシュになぞらえて、「データ自体は売れない、結局儲けるのはツルハシを売る会社」みたいに言われることがあります。(データを売るより、データを扱うBIツールや”AI”などを語ったあまり実態のないサービスを売る意)
が、そう言った話とは少し異なります。

ここで主張されているのは、「データはUX改善に使うことをゴールにする」というような内容です。「データを活用して直接売り上げをあげる」ではなく、「データを使ってUXを向上させる」と「世界観とUXでうまくユーザを取り込み、ビジネスを拡大する」の2つを別のループとして考える、というものです。

 

日本型のOMO

前作を読んだ人の感想として「中国と日本は状況が異なるため参考にならないのではないか?」といったものがあると思いますが、その疑問に対する回答も多く書かれています。

筆者も中国の事例や監視社会とも言われかねない状況が必ずしも良いとは思っておらず、日本型のOMOを作るための提言や日本企業の事例・陥りやすい例がいくつも出てくる。

特に中国ほどプラットフォーマーが独占しないであろう状況や、もともと「おもてなし」など世界観を提示する文化があることなどを挙げて中国の状況と日本の目指すべき部分がまとまっており参考になります。

 

上記のピックアップはザクッとした内容ですが、本書ではもっと具体的にUXコンセプトのまとめ方や設計の仕方も紹介されており、これからWebビジネスを考える多くの層の人にとって示唆を得られる本ではないかと思いました。

 

さて、あと1周ぐらい読まないと理解しきれてないな。。。

 

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